【フォトレポ】宇梶剛士さん登場「アイヌ・フェスティバル2019」

2020年4月24日に白老町にオープンするウポポイ(民族共生象徴空間)開設PRイベントとして2019年11月23日(土)・24日(日)の2日間開催された「アイヌ・フェスティバル2019」に行ってきました。

普段なら2日間開催のイベントは初日に行くことにしていますが、今回はウポポイ開設PRアンバサダーの宇梶剛士さんが出演される2日目に行ってきたので、その様子をお知らせします。

会場には、アイヌの伝統的家屋「チセ」を再現したセットがドドーンと出現
このお金がかかっている感じ、さすが主催が北海道で、企画運営がJTBと電通北海道なだけあるなーとひしひしと感じます(悪口ではありません)


ごくごく一部ですが、アイヌの伝統的に生活用具なども展示されました

▼アイヌ古式舞踊と音楽


千歳アイヌ文化伝承保存会の皆さんが、様々な踊りなどを披露されました


女性たちが車座になって歌う座り唄


最後は来場者も踊りに参加

▼体験コーナー

ウポポイの館内やアイヌの世界をVRで体験できるコーナーもありました


映像自体は短かったものの、ひと足先にウポポイ館内や体験の様子が垣間見えて、実際に行ってみるのがとても楽しみになりました

こちらはアイヌ民工芸品の体験コーナー。特徴的なアイヌ文様を切り紙で作ります


アイヌ文様といえば独特の曲線が印象的ですが、渦巻き模様が基本になっているとのこと。そして、渦巻きのとがった部分には魔よけの意味合いがあるとのことでした


パネルにも説明がありました


イナキビや米粉を使う団子「シト」の試食も提供。今回は米粉のみ使用とのことで、食感はごく普通のお団子。手前は現代風にアレンジしたハスカップ味、後ろは昆布味でした

▼宇梶剛士さん登場

いよいよウポポイ開設PRアンバサダーの宇梶剛士さんが登場。会場後方から宇梶さんの姿が見えると、来場者から一様に「大きい」「背が高い」「ガタイがいい」とのざわめきが。おそらく宇梶さんもそんな反応には慣れているのか、最初からニッコニコの笑顔を観客に向けて和ませてくれました

トークの内容をざっとメモ。

【自分がアイヌであることについて】

子どもの頃は家の中に無造作に鹿の角が置いてあったり、アイヌの文様が入った着物やムックリがあったりした。(仏教式の)法事もやる一方で、なぜか河川敷で果物とか米を並べてお酒を備えたりしていた。今思うとカムイノミ(の儀式)なんですけど、子どもなのでそれが当たり前なのかなと思ってきた。

自分にアイヌの血が流れているとは親から聞いていたが、実感はなかった。

1993年に平取で開催された国際先住民族年のイベントに参加してから、それ以降何度も自分がアイヌなんだなと思う瞬間があった。

自分が主催する劇団で上演する舞台のテーマが期限ギリギリまで決まらず、思わず「アイヌの話を書く」と言ってしまった。そこで、ついに自分も今まで踏み込んでこなかったアイヌの世界を描くんだなと、自分の中で腹が座った(※)。

ほどなく、ウポポイのアンバサダーの話をいただいた。

そうこうしたら、NHK『永遠のニシパ』にキャスティングされてエカシ役で出演したりと、気が付いたら自分の周りがアイヌのことで包まれていた。

※この舞台は、宇梶さんが脚本・演出を手掛けた「永遠ノ矢 トワノアイ」。今年8月に東京などで上演された

【ウポポイについて】

北海道の各地にコタンやアイヌ民族に関する資料館・博物館があり、とても素敵なところが多い。

ウポポイもそのなかのひとつとしてとても大きな規模で開設されるので、いろんな各地の博物館なりを巡って、その末にたどり着いてもらいたい。その反対に、ウポポイに行くことでアイヌの歴史と出会い、そこからまた各地に足を運んでもらったり。

(各地のコタンや博物館とウポポイとが)互いに照らし合うような、呼び合うような関係になり、日本中、世界中からいろんな人が集って知り合えるような場所になってほしい。

「アイヌ」は、アイヌ語で人間という意味。もちろん文化も見ていただきたいが、そこに息づく心、優しさ、願い、祈りみたいなものを、ウポポイに行ってぜひ感じていただきたい。

▼工芸品販売

工芸品販売コーナーでは、アイヌ文様を使用した布製品や鹿の角の加工品などを販売

非常に希少だという、熊の爪のアクセサリーもありました

【感想】イベントとして規模が大きいかといえば決してそうではないものの、新しくできる施設に興味を持たせたり期待を高めたりするプロモーションとしては十分目的を果たしていたといえる。それがすべてだとはまったく思わないが、電通が仕切りに入っているキッチリとしたオペレーションのイベントをたまに見ると、非常に気持ちが良いのも事実。宇梶さんのトークは、短い時間に中身のあるお話がギュッと詰まっていて非常に良かった。

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佐々木康弘

佐々木康弘

ライター、時々カメラマン。物を書いたり写真を撮ったり、それらを編集したりすることを仕事にしています。函館市内と近郊で、年間100件ほどのイベントに足を運んでいます。編集企画室インサイド代表。