この記事では、2015年8月29日(土)に緑の島で開催されたイベント「はこだてエコフェスタ2015」の様子を掲載しています。エコをテーマに様々な展示や体験、販売などが行われた一方、函館市環境部が中心となって「エコ」を推進するイベントとしては首を傾げたくなる光景もありました。その両方を写真とともに紹介します。
▼リユース・リサイクルを推進するブース
再生した自転車などを抽選販売するコーナー
古着無料回収コーナー。燃やせるゴミに捨てるとかさばって意外にお金がかかるとあって、まとめて持ち込む人も多かった
毎年人気の古本販売。市価よりかなり安いため、小説は特によく売れていた
掘り出し物を探す楽しみも
▼フリーマーケットで不用品を誰かの手に
家庭の不用品を必要な人に使ってもらおうという精神で、市民によるフリーマーケットを開催
100円のDVDだって誰かが観てくれるかもしれない!
▼企業・団体もそれぞれの取り組みを披露
薪ストーブを販売する会社による商品展示
コカ・コーラさんのブース。ガラス瓶や紙コップなど、業務上出る廃棄物を別のものに再生して事業で再利用しているという。
少量のペレットで暖かくなり、ある程度の時間燃焼し続けることができるというペレットストーブ。大沼ラムサール協議会の出展。この日はストーブの熱でチーズを温めて振る舞ってくれた。
同協議会は、熱源を使わずに太陽光だけでお湯を沸かせる装置も展示していた。雲が晴れてくると、次第に鍋の底が暖かくなってくる。
▼すべての電力を電気自動車で供給!
このイベントではステージで使う音響装置などを含め、すべての電力を函館市と函館中央三菱がそれぞれ保有する電気自動車でまかなった。
▼その他の催し
木の削りくずから生まれた粘土をこねて自由な形の鉛筆にする「こねこね木の鉛筆」作り、ダンスや仮面ライダーショーなどのステージイベントが行われた。
▼ゴミの回収にはかなりの疑問符が
【この項目の要旨】
ゴミの分別が多くて来場者が迷っていた |
展示や体験など、様々な切り口で環境への取り組みやエコ推進活動に触れてもらおうという趣旨が見て取れるこのイベント。日々のゴミ収集で市民生活に身近な函館市環境部が実行委員会事務局を務めていることもあり、イベント会場でのゴミ回収にも工夫がさぞかしあるのでは、と思いきや……
「プラスチック容器包装」「もやせるごみ」「もやせないごみ」「びん・かん・ペットボトル」の4種類のゴミ箱が置かれていた。観察していると、分別の種類が多くてほとんどの人が迷っている。
もちろん、「びん・かん・ペットボトル」は誰も迷わない。割り箸も「もやせるごみ」だとわかる。だが、会場で最も多く出る発泡系の使い捨て容器と透明のフードパックがどのゴミになるのか、誰もがゴミ箱の前で立ち止まって悩んでいる。上の写真は、見回りに来た係員がひとつひとつ他のゴミ箱から「もやせるごみ」へゴミを入れ直した直後の光景である。この直前は、一番右側の「びん・かん・ペットボトル」を除くすべてのゴミ箱に使い捨て容器が捨てられていた。
他のイベントでは、ゴミ箱に「紙・発泡容器・箸」といったように具体的に捨てるべきものを書いている例が少なくない。多くの場合イベント会場では発生するゴミが想定できるため、抽象的な「もやせるごみ」の表記よりもこのほうが良いのだ。誰もが迷う標示はもはや何の意味も果たさない。
函館市環境部が発行している「環境にやさしいイベント開催の手引き」にはこうある。
分別の徹底を図るため,適正な分別ヤー ドを設置し,イラストなどをつけて分かりやすく表示するとともに,監視指導する担当者 を決め,責任を明確にしましょう。
ゴミ箱にイラストもなければ担当者もいなかったこのイベントは、「環境にやさしいイベント」ではなかったということか。
また会場を見回った限り、このイベントでは「プラスチック容器包装」や「もやせないごみ」はほぼ発生しないと見た。つまり、「もやせるごみ」と「びん・かん・ペットボトル」の分別だけで事足りると思われる。ちなみに、上で引用した「手引き」には、イベントでのゴミの分別として
「 燃やせるごみ(生ごみ,紙くず,プラスチック類,木くず,布,衣類など)」
「 燃やせないごみ(割れたびん,せともの類など)」
「資源ごみ(空き缶,ガラスびん,ペットボトル)」
と書かれている。自ら発行している文書でも、イベントでは「プラスチック容器包装」の分別は不要としているのだが、なぜこの会場には登場してしまったのだろうか。
率直に言って、ゴミの分別回収に関しては「エコフェスタ」より優れているイベントが函館には幾つもある。今後も「エコ」を冠したイベントを開催するのであれば、これこそが「環境にやさしいイベントですよ」と他のイベント主催者に範を示すようなゴミ回収の仕組みを見せていただけないだろうか。
※函館市が発行する「環境にやさしいイベント開催の手引き」は、インターネットでも見ることができます。
「環境にやさしいイベント開催の手引き」