函館山山頂での宇都宮市観光PRイベント レビュー

この記事では、2015年8月20日(木)に函館山山頂クレモナホールにて開催された、栃木県宇都宮市による観光PRイベントの様子を掲載しています。このイベントは函館新聞誌面に事前記事が一度掲載されたのを除いては一切の事前告知がなく、宇都宮市関連のウェブサイト等でもまったく告知されなかったという、知る人ぞ知る謎の催しでした。とはいえ興味深い内容もあったため、記録として残したいと思います。

▼夕方の函館山山頂がPRイベント会場に

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日中ならマイカーでも函館山山頂まで上れるが、夕方以降の開催のためなので交通手段はロープウェイかバスにほぼ限られる。この時点で、このイベント目当てに函館山山頂に足を運ぶ函館市民は皆無だ(実際、観光客と報道しかいなかった)。

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PRブースで無料情報誌などを配布。新聞報道や宇都宮市の担当者の話によると、このイベントは北海道新幹線開業を見据えて函館市民と観光客に宇都宮をPRするためのものらしい。

▼宇都宮市はカクテルの街らしい

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宇都宮市は国内トップクラスのバーテンダーが集まる街としてカクテル文化が発展しているとのこと。この日は、宇都宮市内に店を構えるバーテンダーの宮崎理彦さんが華麗なフレアバーテンディングショーを披露した。宮崎さんはフレアバーテンディングの大会で2014年に日本一に輝いたという。

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宮崎さんの作ったカクテルが試飲として来場者に振舞われた。

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宇都宮のイチゴを使ったカクテルだ。

▼宇都宮はジャズの街でもあった

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サックス奏者の渡辺貞夫氏をはじめ、多くの有名ジャズプレイヤーが宇都宮にゆかりがあることから、官民挙げてジャズによるまちづくりに取り組んでいるのだとか。この日のイベントでは宇都宮から来た3人の奏者によるジャズライブが聴けた。

▼ご当地キャラとじゃんけん

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宇都宮のキャラクター「ミヤリー」とのじゃんけんに勝ち残ると餃子ポーチがもらえる。残念ながら台湾からの旅行者しか参加していなかった。

【寸評】函館の状況が良くわからずに企画されたのかもしれないが、効果のほとんどない無駄な実績作りを目の当たりにした思い。せっかくお金をかけて函館にプロモーションに来たのに常時2~30人ほどの観客しかおらず、時間帯によってはその大半が外国人旅行者だった。函館旅行に来ている旅行者に観光プロモーションを仕掛けていつか宇都宮にも来てもらおうというのはあまりにも遠大な計画。北海道新幹線開業を見据えて函館と宇都宮が連携を深めているのは事実で、この日も日中にラジオ出演など函館市民向けのプロモーション活動をしていたのは知っているが、このイベントについてはだいぶ軸がブレていると言わざるを得ない。

また、会場で配布された無料情報誌も行政区域としての「宇都宮市」にこだわっているため内容が薄く、観光地として抜群の知名度を誇る日光や鬼怒川、那須などは申しわけ程度に触れられているのみ。宇都宮市の紹介ページの内容は大抵どこの街にもあるものばかりで、「たまたま出張で行けば寄るかもしれないが、わざわざ旅行で行くほどでもない」という感想を持つ人が大半だと思う。自分の街に来てもらおうとするあまりに行政域にこだわった観光プロモーションを行うと、かえって旅行行動を減らしかねないという典型的な事例となっている。宇都宮市のことを悪く言う意図は何もないが、自治体による観光プロモーションのあり方について考えさせられる良い機会となった。

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佐々木康弘

佐々木康弘

ライター、時々カメラマン。物を書いたり写真を撮ったり、それらを編集したりすることを仕事にしています。函館市内と近郊で、年間100件ほどのイベントに足を運んでいます。編集企画室インサイド代表。