2017年1月26日(木)から2日間の日程で始まったイベント「2017ふゆトピア・フェアin函館」の初日に行ってまいりました。これは、北国の活性化などを目的に、北海道・東北・北陸で年一回持ち回りで開催されているイベント。函館では初めての開催となります。
初日は、「酒場詩人」として有名な吉田類さんの講演を含むシンポジウムや除雪機械の展示会・競技会、各企業による展示会などが行われました。
▼シンポジウム
▼映像で自身の活動を紹介する吉田類さん
「旅人というのはリハーサルできないので、本番本番の連続。好きなことを夢中になってやるのが、成功につながるのかなと思います」
▲函館には数多く来ている類さん。函館で気に入っている食べ物は?との質問に、「僕はイカが好きなので、イカのいろんな料理を出してくれる店が気に入っている。(店名に)なんとか食堂と付いている店も好きだし、酒屋の中で立ち飲みできる店も好き」
▲講演に続き、北海道・東北の観光分野で働くパネリストによるディスカッションが行われた。以下要約。
阿部千春さん(北海道縄文世界遺産推進室特別研究員)
・縄文時代も日本海ルートでは北海道と東北で活発な交流があった。すでに北海道・北東北の縄文遺跡群は世界遺産の暫定リストに掲載されているが、北海道は道南の遺跡だけなので、いかに他の地域に広げていくかが課題。
・縄文だけではマニアしか来ない。自然・食文化と縄文の3つを核とした魅力づくりを各地域で行い、それを地域同士で連携させる必要がある。
角田 周さん(津軽地吹雪会代表)
・地元の人は誰も雪を資源だと思っていなかったが、これを活かそうと30年前に作った地吹雪ツアーはいまだに人気。
・観光事業者の間では雪は楽しいものだと認識していると思うが、道民・県民の間ではその意識が共有されていないと思う。京都や鎌倉のように、観光客相手に稼ぐ場所と生活する場所は別だというしたたかさを持っても良いのでは。
桑島繁行さん(知床北こぶしグループ(株)知床グランドホテル/(株)知床プリンスホテル 代表取締役社長)
・流氷は、かつては「漁に出られない」「誰も来ない」とマイナス要素でしかなかったが、現在は世界遺産登録の源であり、絶景を求めて多くの人が訪れる。
・観光では、来る前の期待感と実際に訪れた時の満足感のミスマッチが起きていないかが最も大事。
・知床オーロラファンタジーは30年目の昨年で幕を閉じ、今年から新イベント「知床流氷フェス」に生まれ変わる。新たなイベントを作るに際しては、我々年配者は一切口を出さないことにして若い人に任せた。
小林昌子さん(南魚沼市女子力観光プロモーションチーム 設立者・初代リーダー)
・女子力観光プロモーションチームは、南魚沼のいいところをどんどん発信するチーム。特に、寒い地域ならではの保存食の豊かさ、北の知恵を発信したい。
・地域にあるものがなぜできたのかを調べてウェブに載せる活動をしていたら、学校で教材として使われるようになり、メンバーが講師として行くこともある。地域のことを知らないと、若い人は地元に残ってくれない。
津山 睦さん(道の駅みそぎの郷きこない 観光コンシェルジュ)
・木古内といえば寒中みそぎだが、残念ながら1年で3日間しかやっていない。そこで1人の若者が立ち上がり、観光客向けのみそぎ体験を企画して来る日も来る日も観光客に水をかけている。海中沐浴を行う海水から作った「みそぎの塩」も商品化した。
・青函地域の女性で作る「津軽海峡マグロ女子会」の活動を通して、すでに新幹線開業の経験を持つ青森側と助け合って、北海道新幹線開業を迎えることができた。人がつながることで、おもしろいことができるんじゃないかとわくわくしている。
・木古内には高校がないので、若い人は一度は町を出なければならない。楽しいことがいっぱいあって、それを経験してもらえたら、町に愛着を持ってもらえると思う。なので、まずは楽しむこと。
▼除雪機械展示・実演会と競技会
▼函館競馬場駐車場で行われた展示会・実演会には重機メーカーなど11社が出展
▼各社の除雪車などがずらりと並んだ
▼いかにも外国製の雰囲気が漂う、ちょっと珍しい形の除雪機。ドイツ・WESTA社の製品。除雪した雪を、後ろに連結したトレーラーに載せて自分で運搬することができる
▼WESTA車の除雪機を真横から
▼角度的にあまり見えないが、12メートル近い奥行きがある大型除雪車。この展示会で公開する旨がプレスリリースされていた。
こちら→「2017ふゆトピア・フェアin函館」に、フラグシップ大型トラック「クオン」をベースとした除雪専用車を出展
▼一部の除雪車は運転席も見学できた。
▼こちらは凍結防止剤を道路にまく車
▼凍結防止剤(白い粒)をトラックのホッパー(じょうご状の部分)に載せる機械も参考出品された(左下の装置)。従来は人力でホッパーの上から袋を開けなければならず、なかなか大変らしい。この機械を使うと、緑の筒を通って凍結防止剤を上まで運んでくれる
▼幅が1.25mしかないトラック。ドイツ・ラドック社の製品で、小さいが馬力はあり、とても頑丈な上に構造がシンプルなので故障も少なく、ヨーロッパでは広く使われているとのこと。多彩なアタッチメントが用意されており、冬は除雪、夏は草刈りなどフルシーズン様々な用途に使えるという便利な車。日本にはまだ数台しかなく、福島原発の除染活動で活躍しているという
▼各社の除雪車による実演(デモンストレーション)も行われた
▼除雪作業に携わるオペレーターが運転技能を競う「除雪車チャンピオンシップ」も開催された。いかに縁石に沿って走れるかや、パイロンを倒さずにスラローム走行できるかなどを競う
▼固めた砂をどれだけギリギリで崩せるかを競う項目もあり、なかなかシビア
佐々木康弘
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