ついにですよ。
あの、ず〜〜っとボロボロに放置されてた「旧ロシア領事館」が!
この夏、ホテルになって生まれ変わることが正式に発表されました!
その名も「HOTEL白林HAKODATE」。ちなみに「はくりん」じゃなくて「びゃくりん」。
「白」を「びゃく」と読む言葉と言えば、「白夜」「白虎」「白檀」みたいにかっこいいのばっかりですからね!
そこに加わるわけですよ。ホテルびゃくりんハコダテが。
函館の街に残された“威風堂々”
場所は、途中からめちゃくちゃ勾配が急になる「幸坂」の上。風が強くて、ちょっと肌寒いけど、やけに空が広くて気持ちいい、あのあたり。
そこにポツンと残っていたのが、旧ロシア領事館。赤レンガの重厚な建物。
洋風なのに、どこか寂しげで、でも凛としていて。存在感だけはバッチリ。
まさに「時が止まってる」という言葉が似合う場所でした。
建てられたのは、明治41年。つまり1908年。
ロシア帝国の領事館として生まれたこの建物は、ずっしり重厚感があるのに、どこか西洋のおとぎ話に出てきそうなかわいらしさもあって。
赤レンガの壁が、海の見える函館の坂道にしっくりなじんでたんですよね。
その後は函館市の持ち物になり、1965年から約30年間は「道南青年の家」という研修施設に使われていました。
▲壁のスピーカーが「青年の家」時代の名残り(2013年撮影)
でも、それも昔の話。その後は“放置物件”となり。
観光客が坂を登ってきて、「おっ、なんかレトロな建物ある……」って近付いてきても、入口が封鎖されてるのを見て、残念そうに引き返す姿を何度も見ました。
あれ、地味に切なかったです。
しかも場所がね。観光エリアからはちょっと外れてるし、坂の突き当たりにあるから、アクセスがめちゃくちゃ良いわけでもない。
そして何より、あの状態から直すには、まあまあというか、正直とんでもないお金がかかりそうで。
これはもう……誰かの心に引っかかりながらも、このまま静かに朽ちていくんじゃないか。
そんなふうに思ってた方、多かったと思います。私もそのひとりでした。
ゴールデンカムイにも出てきましたよ
ちなみに、ファンには既に有名ですが、あの『ゴールデンカムイ』にも登場してます。
そう、あの鯉登少尉が子どもの頃に誘拐されたエピソードで、三輪車が見つかったのがこの旧ロシア領事館。
さらに、最終盤でも物語の根幹にかかわる重要な場所として再びこの建物が登場します。
▲原作にこの階段登場してます(2013年撮影)
つまり、ここはただの古い建物じゃない。
歴史的な価値があり、物語の聖地でもある、魅力的なスポットなのです。
そして2025年7月、「HOTEL白林HAKODATE」として爆誕
で、4月11日に公式発表されたニュース。
この旧ロシア領事館が、2025年7月、「HOTEL白林HAKODATE」として華麗にリスタートするとのこと!!!
しかも、ただのホテルじゃない。
全6室、オールスイート。各部屋にプライベートサウナ&水風呂。
いや、え? ちょっと贅沢すぎない? 函館で? あそこに?
▲客室イメージ
ホテルになるとは聞いてましたが、あの朽ち果ててた建物が、“大人の隠れ家”みたいな極上空間になるって、ちょっと想像超えてきましたね。
さらに、ホテル内にレストランと寿司店とバーを併設。ウェルネス棟にはジムとライブラリーがあるそう。
まだまだ函館に少ない「大人のご褒美宿」的な路線で来ましたね~。
公式発表によると、宿泊予定価格は2食(夕・朝)付きで1部屋2名税込31万9000円! さらにサービス料は別!
う~~ん、「ちょっと泊まってみようかな」とは言えないお値段!
でも、100年以上前に建てられた建物を維持していくためには、高価格帯のホテルとしてしっかり利益を出していくことが必要だと思います。
なので、函館市民のひとりとして納得です。
心のどこかで「諦めてた」からこそ、うれしすぎる
私は函館出身じゃないので、子どもの頃に旧ロシア領事館(青年の家)を訪れた経験がなく、正直、特別な思い入れがあるかといえばそうでもなくて。
ただ、2013年に一日だけ一般公開された際、興味があって訪ねてみたら……
いや、びっくりしました。思ってた以上にボロボロで。「あ、これもう無理じゃん……」って思いました。
▲ガチでボロボロでした(2013年撮影)
全国どこでもそうですけど、函館も例外じゃない。
素敵な古い建物が空き家になって、どうしようもなくなって、やがて壊されていく。そういうのを何度も見てきました。
▲風情のかけらもなく作り替えられた空間があったり(2013年撮影)
だから、旧ロシア領事館もそのひとつになるんだろうな、って。
勝手に覚悟してたというか、もう仕方ないよねって、どこかであきらめていました。
なのに、まさかの高級路線ホテルとして第3(?)の人生を歩み始めるとは。予想外のうれしさがあります。
もちろん、昔の姿そのまんまってわけではないのでしょう。
でも、100年以上も前の建物に、今また「新しい命」が吹き込まれる。それってすごく前向きで、美しいことだと思うんですよね。
建物って、ただ保存して「ほら残しましたよ」じゃ足りなくて。
人が足を運んで、時間を過ごして、思い出が積み重なって、初めて“生きてる”って言えるんじゃないかと思います。
旧ロシア領事館は生きていく。新しい姿で、また人を迎えながら。
がんばれ。次は200年を目指して。